南北朝時代の木造弥勒菩薩坐像から発見。紙は茶色く変色していたものの、黒い墨で文字や絵のようなものが確認されました 。
広島県の国宝に安置された仏像の頭部から、1300年代のものと見られる紙の束が見つかりました。墨で文字や絵のようなものが書かれており、「まさにタイムカプセル」と話題になっています 。
見つかった仏像は、広島県福山市の国宝・明王院五重塔で本尊として安置されている「木造弥勒菩薩坐像(もくぞうみろくぼさつざぞう)」。五重塔が建立されたのと同じ1348年に造られたとみられています。南朝と北朝の2つの朝廷が並存していた南北朝時代です 。
劣化が進んでいたことから、県や市の補助金を受けて6月に修理を開始しました 。
すると、仏像の頭部に直径10センチほどの空間があり、変色した紙の束が入っていたそうです。仏像の制作時に納められたものとみられています 。
紙は茶色く変色していたものの、黒い墨で文字や絵のようなものが確認されました 。
寺は大学教授や国の機関の協力を得ながら、何が書かれているのか慎重に調べています 。
市担当者「年度内には概要を」
福山市の担当者に調査について聞きました 。
――紙には、どんなものが書かれていたのですか 。
黄色く変色した紙に、明らかに地の色とは違う墨で書かれたものが確認できました。まだ文字なのか、絵なのかもわかりません 。
――広げてはいないのですか 。
はい。まだ紙の状態がわかっていないので、無理やり取り出してしまうと、壊れてしまう可能性があります。正しい取り出し方を、国の機関や大学の美術史の専門家に相談しながら慎重に調べています 。
――どれくらいの時間が、解読にかかりそうですか 。
修理の予定が2023年度中になっています。それまでに仏像を寺にお返しするのが目標なので、どんなことが書かれているかの概略だけでも何とか把握したいと思っています 。
――仏像の中から文書などが出てくることは珍しいのですか 。
他にも多くの例があります。「納入品」といって、お経や、願文(がんもん、願いごと)、印物(スタンプのようなもの)などが仏像の中から出てくることがあります。仏像をつくった人が狙いを書いておく場合があるんです 。
「ジブリも参考に」日本の中世を代表する遺跡の前……!
――お寺が建てられた時、どんな場所だったのでしょうか 。
南北朝時代の1348年に建てられました。このエリアについては、お寺の前ある「草戸千軒町遺跡」という遺跡が参考になります 。
――どんな遺跡なのですか 。
日本の中世(鎌倉・南北朝時代)を代表する遺跡で、スタジオジブリの『もののけ姫』なども参考にしているのではといわれています 。
――イメージが湧いてきました 。
このエリアは鉄など中国山地の産品を中継する貿易都市でした。その富の一部を集めて作ったのが、このお寺です 。
その時代のことを、この紙が語りかけてくれているんです 。
――建てられた経緯はわかっているんですね 。
五重塔の一番上にある金具に、建立の経緯が書いてあります。誰か有力者が建てたのではなく、たくさんの人たちが寄り集まってこの寺を建てたと伝わっています 。
――見つかった紙に、どんなことが書かれているんでしょうね 。
調べてみなければわかりませんが、弥勒菩薩像をつくった仏師などが書いてあればありがたいです。でもそこまでは夢を膨らませず、何が書かれているのかな、と思うだけにしようとしています 。
3体中2体、「無理やり見つける予定はありません」
――今回の仏像を含め、3体が県の重要文化財になっていますが、他の2体はすでに調べたのでしょうか 。
他の2体はすでに表面の修理が終わっており、解体はしていません 。
――レントゲンなど調べ方によっては、見つかる気もしますが 。
今回は修理の過程で自然に見つかりました。修理しないものを無理やり見つける予定はありません 。
ネットの反応は……?
予想外の発見に、ネット上でも大きな反応がありました 。
「 菩薩像の頭の中初めて見ました 🙏 」
「 未来人への手紙だとロマンあるね 」
「 菩薩坐像がメッセンジャーとなり、悠久の時を超え、現代へと届けられたいにしえのメッセージ … … 。めちゃくちゃロマンがある 」
文字の解読に、期待が集まっています !
「 ワクワク、何が出てくるのでしょうね ? まさにタイムカプセル 」
「 歴史の神秘、、、中身が気になる 」
「 何を思い納めたのか。研究結果が楽しみです 」