繰り返し起こる事故に、「もう二度と起こさない」と福岡市が誓いを立てていたことがわかりました 。
JR博多駅(福岡市)前の道路に7年前、突如としてポッカリ穴が空いてしまった陥没事故。その跡地に「碑」が建っており、X(旧Twitter)上で「歴史感出してきた」「観光地かな」と話題になっています(Togetter)。市に狙いを聞き、近年起こった陥没事故を振り返りました 。
BuzzFeedは福岡市に話を聞きました
近年の事故によって碑ができるのはあまり聞いたことがなかったので、碑を建てた福岡市にいきさつを尋ねました。碑が建ったのは実は2023年3月のこと 。
市交通局計画課によると、碑を建てるに至ったのは、市民などの働きかけがあったわけでも、何か参考にした碑があった訳でもないそうです 。
大規模な陥没事故を教訓として、「事故を風化させることなく、地下鉄の安全運行に取り組む誓い」とするために設置しているといいます 。
またこの碑に正式名称はなく、特段の広報もしていないとのことでした 。
ネットの反応は……?
碑文の登場にネット上では 、
「 事故の教訓を後世に伝えていくことは大切 」
「 事故を起こした団体や人が、こういう石碑を建てていって、それを巡るダークツーリズムが盛んになったら、事故抑制になるのでは 」
などの肯定的にとらえる声が上がっています 。
一方で 、
「 こりゃおかしいやろ。復旧だけを美談にして事故の原因・責任は曖昧に 」
「 こんな記念碑、いるのかな ? 」
と疑問視する意見も出ています 。
また碑を見て事故自体を久々に思い出したという人も 。
「 割と最近な気がするんだけど、もう7年前という現実に震えている 」
「 事故のこと忘れていて当たり前に乗れるのは本当に素晴らしいことなのね 」
「 あのメインストリートで、あの規模の陥没で、1人たりとも死傷者がでなかったのはまさに奇跡 …… 」
さらに碑文がQRコード付きだったことや、特段の周知なく現れたことを指摘する人もいました 。
「 こういうのにもQRコードが付く時代なのか 」
「 いつの間にかできてましたね〜w ひっそりと置いてあるのも相まって 」
事故を振り返る
福岡市が作成した事故報告書によると、博多駅前の道路が2016年11月8日午前5時15分に陥没。穴は長さ30メートル、幅27メートル、深さ15メートルの規模でした 。
原因は、市が地下鉄を通すためにしていたトンネル工事によるもの 。
事故原因について市の作成した報告書は、地質の強度や厚さの想定と異なっていた、出水を止める薬液を使っていなかったことなどを挙げています 。
ただこれだけ大規模の事故でしたが、けが人は出ませんでした。陥没の約30分前、工事中に想定外の水が出てきました。現場はこれを異常と判断し、作業員全員が地上に避難すると同時に、地上の交通規制をかけたそうです。交通規制の態勢が整ったのは5時10分で、陥没の5分前。あわやというところでした 。
この陥没の影響で、駅前の通りが通行止めになったほか、電気、ガス、上下水道、電話線などに被害が出ました 。
陥没から1週間後の11月15日には道路の仮復旧が完了し、交通規制を解除するところにまでこぎ着けました。これだけの規模の陥没で1週間での復旧は驚きです 。
市によると、トンネル工事やライフラインを含め2022年度中に完全復旧を果たしたとのことでした 。
【 あすは何の日】新幹線工事現場で陥没事故東京のJR御徒町駅北口ガード下が大きな爆発音と共に陥没し、乗用車やオートバイ4台が転落、10人がけがをした。(1990年)#朝日新聞フォトアーカイブ#朝日新聞pic.twitter.com / Bkdz21vUvm
近年の陥没事故を振り返る
日本国内で年間1万件の道路陥没が起きているといいます(国土交通省の資料による ) 。
ここ数十年で起こった大きな事故のいくつかを紹介します 。
▼ 1990年1月22日東京都台東区のJR御徒町駅ガード下の道路が陥没し、通行人など17人が負傷。トンネルを堀り進める際の手抜き工事(地盤を固めるためなどに使う薬液不足)が原因とされています。(会計検査院の資料による) ▼ 2000年6月20日福岡市中央区の市道が幅約5メートル、長さ約10メートル、深さ約7~8メートル陥没。地下鉄工事の掘削現場の壁が崩れました。(朝日新聞西部本社 同月21日付け朝刊) ▼ 2014年10月27日福岡市博多区で市道が幅、長さ、深さ約3メートル陥没。地下鉄工事にあたり雨水を流す管を移設する工事をしていたところでした。(朝日新聞西部本社 同月28日付け朝刊) ▼ 2015年12月7日名古屋市中村区のビル工事現場前の歩道が陥没。規模は4メートル四方で、穴の深さは約5メートルに達しました。けが人なし。(朝日新聞名古屋本社 同月8日付け朝刊) ▼ 2020年10月18日~23年1月東京都調布市の住宅街で道路の陥没や地中の空洞が相次いで見つかりました。規模は例えば陥没した箇所では、幅5メートル、長さ3メートル、深さ5メートル程度 。
現場付近の地下47メートルでは、NEXCO東日本が東京外郭環状道路(外環道)のトンネル掘削中で、同社の有識者会議は工事が事故の「要因の一つである可能性が高い」としています。(同社の資料などによる )