「 このタイミングで買わないと絶対買えないから、後悔はしたくないという心境でした 」
漫画家・秋本治さんの代表作『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称:こち亀)。ある古本屋でゲットしたという1〜6巻のセットの写真が投稿されたことで、SNSに動揺が走りました 。
貼られている値札が何と8800円だったからです。なぜそんな高価なのか、BuzzFeed Japanでは、投稿者に取材しました 。
これヤバいやつpic.twitter.com/TzXFFBN5AM
たころん先生さん(@takoron_sensei)がX(旧Twitter)に9月23日に投稿したのは、古本の『こち亀』1〜6巻セットの写真。「これヤバいやつ」とキャプションを添えました 。
写真の漫画は一見普通の『こち亀』のように見えますが、作者名をよく見ると秋本治ではなく「山止たつひこ」となっています 。
実は山止たつひことは、秋本治さんがデビュー当時使っていたペンネームで、この名義の漫画本は6巻までの初版でしか確認できないとのこと 。
初版の6巻セットが売られているところを発見した、たころん先生さんが、「これヤバいやつ」と喜びを伝えたくなる気持ちにも納得です 。
漫画家の山上たつひこさんから影響を受け命名
書籍『超こち亀』(集英社)に掲載されたインタビューによると、「山止たつひこ」とは、『がきデカ』で知られる漫画家・山上たつひこさんにあやかった名前だったそうです 。
改名するタイミングをうかがっていたところ、担当編集者さんから「連載100回で変えよう」と提案され、ようやく本名の秋本治に改名しました 。
秋本さんはこのインタビューの中で「若気の至りとはいえ、山上たつひこ先生には本当に申し訳ないことをしたと思っているんです」と告白 。
改名した際には「それまでは何かをかぶっていたような感覚だったんですが、今度は正真正銘の本名ですし、責任もってしっかり描くんだ」と意気込んだそうです 。
SNSでは驚きや懐かしむ声が寄せらています。
投稿された写真には 、
💬 「 普通にこち亀のコミックかと思ったら山止たつひこ名義 … 。この旧PNは知ってましたがこの名義で出てた単行本があったとは 。 」
💬 「 自分は3巻をブックオフ110円で買えました 👍 昔からブックオフ行くととりあえず両津勘吉は確認します … でもほぼありませんけど 😢 」
💬 「 最初は違う名前だったのか!? 👀 知らんかった 」
など多くのコメントが寄せられました 。
BuzzFeedは投稿者さんにお話を聞きました。
投稿者のたころん先生さんは、趣味でアーケードゲームなどの筐体(きょうたい)をコレクションしているそう 。
今回の『こち亀』はお宝探しの一環で発見したのか、それとも偶然の出会いだったのでしょうか?詳しくお伺いしてみました 。
――たころん先生さんは、山止たつひこ名義の『こち亀』単行本を探していたのでしょうか ?
正直探してませんでした 。
商談のついでに出会った友人に誘われ、大阪府泉佐野市にある絶版した漫画を専門とする古本屋に行ったんです 。
いろいろ見ていると、山止たつひこ名義の『こち亀』がフルセットであって、「このタイミングを逃したら絶対買えないな」と思い購入しました 。
ちなみに『こち亀』は全巻持っていますが1~6巻は秋本治名義で、削除された「派出所自慢の巻」(編注:表現が過激で差し替えられた伝説回)の載っている4巻もあります。山止たつひこ版には、偶然巡り会えたんだと思ってます 。
――山止たつひこ名義の全巻ぞろいはどれくらい貴重なんですか ?
どれぐらい貴重なんでしょうね?(笑 )
小学生時代から集め出した『こち亀』は、当時すでに60巻ぐらい出ていました 。
山止たつひこ名義は絶対手に入らないだろうなと思っていたので、個人的に今回の出会いはプライスレスって感じです 。
――見つけたときはどういった心境でしたか ?
あるところにはあるんだなー、と 。
8800円ならアーケードゲーム基板を1枚買うよりもはるかに安いし、このタイミングで買わないと絶対買えないから、後悔はしたくないという心境でした 。
――今回の漫画とは偶然の出会いでしたが、探しているレアものはありますか ?
アーケードゲーム筐体や基板の収集が趣味なんですが、今一番欲しいレアものは、SNKが発売した「ラウンドトリップRV(1997年)」と「オフビートレーサー(1998年)で、専用筐体ごと欲しくて探してます 。
そこまで高くはないと思いますが、筐体がそもそも出てこなくて … … (笑 )
道場の整備完了、現状IIDX、SUPER NEO 29、MVS筐体、TFFACの4台が稼働出来る感じ。ビーストバスターズは来月以降に整備かなー。pic.twitter.com/kWE1tWCOq5
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思わぬところで希少な漫画に出会うことができた、たころん先生さん 。
普段からレアものを探しているからこそ、見つけられた品かもしれませんね 。
「 お宝発見」とはまさにこのこと !
( サムネイル:時事通信社 )