小鳥の言語を研究するためにハトの被り物 …… ? 🐦

あるシジュウカラ研究者のフィールドワーク写真が「涙ぐましい努力」「余計あやしい」とSNS上で話題になっています 。

『 動物たちは何をしゃべっているのか?』などを著書に持つ、​東大准教授の鈴木俊貴さん(@toshitaka_szk)が投稿したのは、ハトの被り物をかぶって森の中に座り込んでいる研究者の写真 。

鈴木俊貴さんのXより

投稿を見たユーザーからは、「山で出会ったら泣く」「鳥にとって鳥として認識されるのかな?」など多くのコメントが寄せられ、2.5万件を超える「いいね」が集まりました 。

一昨年から一緒に研究している研究員。シジュウカラに警戒されないよう配慮した結果こうなった(意味はなかった)pic.twitter.com/yiOBX1JZmL

ハトマスクは「鳥たちに顔を覚えられないため」

鈴木さんは 、

一昨年から一緒に研究している研究員。シジュウカラに警戒されないよう配慮した結果こうなった(意味はなかった )

とつづり、ハトのマスクをかぶった研究員の写真を投稿 。

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ちなみにこの姿で困るのは、眼鏡がかけられないことなんだとか 。

眼鏡がかけられないpic.twitter.com/quQNsLf1iE

正しい眼鏡のかけ方を教えてくれる研究員(意味はなかった)pic.twitter.com/bbGI0jQlyo

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一見おもしろおかしく見える被り物ですが、かぶっているのにはちゃんと理由がありました 。

当時、鈴木さんたちは長野の森でシジュウカラの研究をしており、巣箱を開けてヒナの体重を測る必要がありました。しかし鳥は賢いので、親鳥に顔を覚えられてしまうと警戒され、鳥の言葉の研究ができなくなってしまいます 。

そこで顔を覚えられないために持ち出したのが、この“ハトマスク”だったのでした。なお鳥たちはどうやら「顔以外」でも人間を識別しているようで、結局ハトマスクに「意味はなかった」とのことです 。

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一応経緯を説明しますが、本件、至って真面目です。当時、僕と研究員は、長野の森でシジュウカラの鳴き声(言葉)を研究していました。そのなかで、巣箱を開けてヒナの体重を測る必要がありました(環境省の許可取得済)。しかし、鳥たちは賢く、人間の顔を覚えるとの研究結果も知られています。→

ネット上では、「山の散歩中にこれにエンカウントしたら恐怖で大泣しそう」「警戒されないためにはスーツも脱ぎ捨てたほうがいいんじゃないですかね(多分違」などのコメントが集まりました 。

研究者の鈴木さんにお話を聞きました。

――シジュウカラの鳴き声(言葉)について研究しているとありましたが、具体的にどんなことを調査しようとしていたのでしょうか ?

シジュウカラの鳴き声の研究の詳細については、まだ論文になっていない部分があるのでお答えできないのですが、シジュウカラの鳴き声にもきちんと単語や文法があるということが僕の研究からわかってきました 。

――ハトマスクのアイデアは研究員の方から持ちかけられたのでしょうか ?

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ハトをかぶろうと言い出したのは僕だったと思います。灰色のハトをかぶっているのが研究員で、白いハトをかぶっているのが僕です 。

マネシツグミやワタリガラスはヒトの顔を区別して、危険な人物とそうでない人物を覚えるので、シジュウカラにもそれくらいできるはずだと思ったからです 。

――このアイデアを提案したときの、研究員の方の反応はいかがでしたか …… ?

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研究員の反応まで覚えてませんが、普通にやってみようという反応だったと思います 。

――投稿では結局、親鳥に覚えられてしまったとありました。結局、その巣での研究はできなくなってしまったのでしょうか ?

翌日、マスクをせずに巣に戻ったところ、警戒されました。ヒナの体重を測るときはマスクで顔を隠していたのですが、顔以外の部分もヒトの識別に使っていたのかもしれません 。

・・・・・

森の中でハトの被り物をした男性に遭遇したら、小鳥の言語を研究しているのだと温かく見守ることにしましょう …… 🐦

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