「 主権国家に対する侵略戦争はケンカではありません。侵略者を宥(なだ)めることは終戦に導きません 」

雑誌『通販生活』の表紙に、在日ウクライナ大使館が猛烈な抗議をしました 。

『通販生活』とは?

問題となった『通販生活』とは、1982年からカタログハウス社が出版している通販カタログの雑誌です。もともとは月刊誌ですが、現在の発行ペースは年3回 。

公式サイトによると、「商品は一にも二にも品質が大切」として品質重視の商品を紹介するほか、「買い物は平和な社会でなければ成り立たない」として、戦争反対や原発反対を訴えているそうです 。

猫の目線で「見習ってください。停戦してください」とのメッセージ

今回、話題となったのは10月10日から購読者に発送されている『通販生活』の2023年冬号です。表紙には、銃を構えて戦う兵士らの姿を映した液晶テレビを眺める猫の姿が描かれていました。その下には以下のようなメッセージが書かれています 。

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「 プーチンの侵略に断じて屈しないウクライナの人びと」「がんばれ、がんばれ、がんばれ。守れ、守れ、守れ。殺せ、殺せ、殺せ。殺されろ、殺されろ、殺されろ」「人間のケンカは『守れ』が『殺し合い』になってしまうのか。ボクたちのケンカはせいぜい怪我くらいで停戦するけど。見習ってください。停戦してください 」

『通販生活』2023年冬号の表紙(カタログハウス)

ロシア軍のウクライナ侵攻を猫同士のケンカにたとえた上で、猫を見習ってウクライナの人々に停戦を求めるような内容でした 。

これに対してSNS上では「さすがに限度を超えています」「ウクライナの人々を愚弄しているようにしか見えない」「侵略をケンカに置き換えて、喧嘩両成敗に応じないウクライナ人が悪いように誘導する。それを猫目線で揶揄する性格の悪さ」などと非難する声が相次いでいました 。

在日ウクライナ大使館の抗議内容とは?

こうした中で、在日ウクライナ大使館も27日、X(旧Twitter)で、『通販生活』に対して猛烈な抗議をしました。ウクライナに対する「侵略戦争」はケンカではなく、侵略者をなだめることは終戦に導かないとして、以下のように書いています 。

「 在日ウクライナ大使館はこのような呼びかけ及び例えを、日本国民及び日本政府の立場に矛盾するものとして強く非難します」「ロシアは侵略国家であり、ウクライナから直ちに撤退すべきです」「主権国家に対する侵略戦争はケンカではありません。侵略者を宥(なだ)めることは終戦に導きません 」

在日ウクライナ大使館はこのような呼びかけ及び例えを、日本国民及び日本政府の立場に矛盾するものとして強く非難します。ロシアは侵略国家であり、ウクライナから直ちに撤退すべきです。主権国家に対する侵略戦争はケンカではありません。侵略者を宥めることは終戦に導きません。pic.twitter.com / oKtrGsP7ZI

「国境なき医師団日本」のSNSに投稿された動画より

【続報があります!】

『 通販生活』の版元が謝罪。猫のケンカを見習って「停戦」を呼びかける表紙にウクライナ大使館が猛抗議していた

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